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株のきほん

指値と成行、どう違う?
注文ボタンの前に知っておきたいこと

/ ひろみの株窓 / 約8分

気になる株を見つけて、注文画面を開く。そこで出てくる「指値」と「成行」の二択に、手が止まったことはありませんか。どちらも株を売買するための注文ですが、取引所へ伝える希望が違います。コーヒーをひと口。今日は、ボタンの名前を覚えるより先に「何を決めて、何を任せるのか」を整理しましょう。

最初に、今日の答え。

指値は、買うときの上限・売るときの下限となる価格を決める注文。成行は、価格を指定しない注文です。指値には成立しない可能性があり、成行には想定と違う価格で成立する可能性があります。どちらにも「必ず思いどおり」はありません。

コーヒーとパソコンのそばで、時計と値札を天秤に載せた水彩イラスト
価格の条件と、売買成立のしやすさ。注文で何を優先するか考えてみましょう。

指値は価格の条件、成行は価格を指定しない

この記事では、日本の取引所に上場する内国株式の、通常の現物取引を考えます。外国株や単元未満株、証券会社独自の取引では取り扱いが異なる場合があるので、同じ画面・同じルールだと思い込まないことが出発点です。

たとえば「1株1,000円以下なら買いたい」。この希望を価格の条件として伝えるのが買いの指値です。売る場合は向きが逆で、「1株1,000円以上なら売りたい」となります。指定した価格だけでしか成立しない、という意味ではありません。自分にとって有利な価格で成立することもあります。

一方、成行では価格を指定しません。取引所の注文の優先順位では、成行が指値より優先されます。ただし、優先されることと、希望する金額・数量で確実に成立することは別です。注文の基本的な違いは、JPXの「売買成立の方法」[1]で確認できます。

注文の違いを、3つの質問で整理
比べること指値成行
価格を決める?買いの上限/売りの下限を指定指定しない
気をつけることは?価格の条件が合わず成立しないことがある思った価格より不利になることがある
数量は確約される?全数量が成立するとは限らない全数量が成立するとは限らない
ひろみ

「どちらが優秀?」ではなく、「どんな条件で注文したい?」と考えると、違いがつかみやすくなりますね。

1,000円の指値なら、必ず1,000円?

ここからの価格・数量は、仕組みを説明するための架空例です。実在銘柄の株価や注文状況ではありません。手数料・税金は除き、売買立会中のザラバで、ほかの注文の到着や取消しがない場面を考えます。

いま、ある株を990円で100株売りたい注文があるとします。そこへ「1,000円を上限に100株買う」という指値注文が来て、ほかに先行する買い注文がないなら、990円で100株の売買が成立する例が考えられます。買いの指値は上限なので、それより安く買えることもあるのです。

反対に、最も安い売り注文が1,010円だったらどうでしょう。1,000円の買い指値とは条件が合わず、その時点では成立しません。その後に価格や注文が変われば成立する可能性はありますが、注文を出しただけで予約のように購入が確定するわけではありません。

買い指値1,000円の読み方

「1,000円ちょうどで買う」ではなく、「1,000円より高くは買わない」。売り指値では「その価格より安くは売らない」と読み替えます。

指値にしたから損失が防げる、という意味でもありません。買った後に株価が下がるリスクは残ります。価格の条件を決める機能と、将来の値動きへの備えは、分けて考えましょう。

成行は、画面の株価で買える?

画面の「現在値」は、直近に成立した取引の価格を示すものです。これから自分の注文が成立する価格を、約束する数字ではありません。相手の注文が並ぶ「板」の状況と、注文が取引所に届くまでの変化も関わります。

次も架空のザラバの例です。売り注文が1,000円に100株、1,005円に100株あり、ほかに先行する注文がなく、その並びも変わらないとします。200株の買い成行が来ると、100株ずつ異なる価格で成立する場合があります。成行なら、画面に見えた一つの値段で全株を買えるとは限らないのです。

架空例:200株を買う場合

100株 × 1,000円 + 100株 × 1,005円 = 200,500円

平均の取得価格は 1,002.5円/株。手数料・税金は含めていません。

売り買いの注文が少ない銘柄や、材料が出て注文が偏る場面では、見ていた価格から離れて成立することもあります。逆に、相手注文が不足するなどの状況では、成行でも成立しなかったり、一部だけ成立したりする可能性があります。「成行=必ずすぐ、全株」と覚えないようにしましょう。

寄付き・引けなどの板寄せは、ザラバとは価格を決める方法が異なります。特別気配などで売買がすぐ成立しない場面もあります。上の例を、どの時間帯にもそのまま当てはめないことが大切です。[1]

同じ値段の注文は、誰が先?

取引所では、基本となる「価格優先」と「時間優先」の原則があります。買い注文なら高い価格、売り注文なら安い価格の注文が優先されます。同じ価格の注文同士では、原則として先に受け付けられた注文が優先されます。[2] [3]

だから、株価が自分の指値と同じになったのに、まだ買えていないこともあります。自分より先に並んだ注文があったり、その値段で成立した数量が足りなかったりするためです。自分の注文の順番まで相手注文が届いているか、という視点を加えると、画面の見え方が変わります。

ただし、寄付き前の注文などには同時に受け付けたものとして扱う仕組みもあります。いつでも単純な早い者勝ち、という説明では足りません。細かな売買制度を一度に覚える必要はありませんが、例外があることは心の片隅に置いておきましょう。

ひろみ

「値段が届いた」と「自分の注文が成立した」は別なんですね。注文履歴で、成立した株数まで確かめてみましょう。

注文前と注文後に、確認したいこと

コーヒー、確認用のメモ、ペンとパソコンを並べた落ち着いた机の水彩イラスト
最後のひと呼吸は、注文の内容を確かめる時間に。

注文の入力欄は、知識があるつもりでも見間違えやすい場所です。日本証券業協会の受注に関する資料でも、銘柄、買い・売り、株数、価格などの確認項目が挙げられています。[4] 個人の確認メモとして、次の5つに分けてみましょう。

確認するのは、この5つ
  1. 銘柄名とコードは合っている? 買いと売りを取り違えていない?
  2. 現物・信用、NISAなど、選んだ取引と口座は意図どおり?
  3. 数量と、指値・成行の選択は合っている?
  4. 注文期限・執行条件と、必要な資金・手数料は確認した?
  5. 発注後、未約定・一部約定・全部約定のどの状態か確認した?

注文を変えたいときも、「取消しボタンを押したから安心」で終わらせず、取消しが受け付けられたかを履歴で確認します。変更・取消しと行き違いで成立する可能性があるためです。注文期限や訂正の取り扱い、成行注文に必要な買付余力は証券会社によって異なるので、利用先の公式ヘルプで確かめましょう。

指値は価格の条件を決める。成行は価格を指定しない。その違いを知ったうえで、成立しない可能性も、思った価格とずれる可能性も見ておく。注文を急がず、自分が入力した条件を言葉にできたら、今日の学びは十分です。

参照した一次資料

確認日:2026年10月27日。日本株の取引所売買の一般的な仕組みを整理しています。

  1. JPX「内国株の売買制度:売買成立の方法」 — 注文種類、価格・時間優先、板寄せとザラバ。
  2. JPX 用語集「価格優先原則」
  3. JPX 用語集「時間優先原則」
  4. 日本証券業協会「コンプライアンス・ハンドブック2026」 — 本文24ページ「株式・ETF・REIT等の受注」。

一般的な学習のための記事であり、特定銘柄や注文方法を推奨するものではありません。投資には元本割れ等のリスクがあります。記事中の注文・金額は架空の説明例です。

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